デンタルファイルNo.31 親しらずのはなし
親知らずとは、20歳前後に一番奥に生える歯で、上下左右で合計4本あり、「第3大臼歯」または「智歯」と呼ばれています。
古代人では、上下顎の親知らずがしっかり噛み合っていたことが知られています。しかし、人類が進化するとともに顎の骨が徐々に小さくなってきました。現代の軟らかい食べ物が中心となった食生活の影響があります。その結果、親知らずがきちっと生えるスペースがなく、歯肉の横のほうから生えてきたり、顔を出しそこなって歯肉の中に潜ったままになっている場合や、真横を向いて手前の第二大臼歯を強く押している場合もあります。
親知らずは個人によってかなりの違いがあり、上下左右の4本すべて揃っている人や、1本もない人など、数・大きさ・生え方などさまざまです。
親知らずが引き起こす問題として、次のようなことがあげられます。
- 食べかすがたまりやすく、腫れて痛みを持つことがあり、智歯周囲炎になりやすい。
- 歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい。
- 前にある歯を押して、歯並びやかみ合わせが悪くなる可能性がある。
- いったん虫歯になると、治療するにも道具が入らず、思うような治療ができない。
このように、虫歯になったり、他の歯や口の組織に悪影響を及ぼす場合は、抜歯が必要になります。親知らずについて心配な場合は、かかりつけの歯科医院で相談をしてみるとよいでしょう。