デンタルファイル

デンタルファイルNo.30 混合歯列期について

乳歯(子どもの歯)から永久歯(大人の歯)への交換は6歳頃から始まり、その間、乳歯と永久歯が口の中で混在している状態を混合歯列と言います。ちょうど小学校の時期に当たります。最終的には、成人前後になって生えてくる第三大臼歯(智歯・親知らず)を含め、上下、左右合わせて32本の永久歯が生えてきます。

小学校の頃は、乳歯列から混合歯列を経て永久歯列へと、最も劇的な変化を見せる時期でもあり、正しい永久歯の噛み合わせになるための重要な時期とも言えます。 この時期、むし歯や顎の大きさなどが原因で、永久歯への生え変わりがうまく行われず、「不正咬合」になってしまう場合も多く見られます。

混合歯列期のむし歯

生えて間もない永久歯は「幼若永久歯」(ようじゃくえいきゅうし)と呼ばれ、成人の永久歯に比べると、歯の質が柔らかく、酸に対する抵抗性が低いのが特徴です。また、一度むし歯になると、刺激が歯の神経に伝わりやすく進行が速いのも特徴です。歯が生えたすぐあとにむし歯にかかってしまう傾向があり、したがってこの時期のむし歯予防をしっかり行う必要があります。

予防としては、家庭でできることとして、おやつを始めとした食生活の見直しや、仕上げ磨きを含めたブラッシングがあります。また、歯科医院で行うこととして、むし歯になりやすい溝を予防的に埋めてしまう「フィッシャーシーラント」という処置や、「フッ素塗布」などがあります。いずれにしても、定期的に歯科医院にかかり、歯医者さんと協力をして管理していくことが大切だといえます。

混合歯列期の歯肉炎・歯周炎

歯肉のみが赤くなり炎症が見られるのを「歯肉炎」といいます。それが更に進み、歯肉溝が深くなり歯槽部まで炎症が広がったものを「歯周炎」といいます。混合歯列期には歯周炎より歯肉炎が多く見られ、その一番の原因は、プラークと呼ばれる「歯垢」です。予防および治療としてはブラッシングが重要で、とにかく歯垢を除去することです。

その他、この時期の歯肉炎や歯周炎には「不潔性歯肉炎」「萌出性歯肉炎」「思春期性歯肉炎」「若年性歯周炎」などがあり、要因として、局所的なものと全身的なものがあると考えられています。

むし歯の予防と同じく歯肉炎や歯周炎の予防も、家庭ではブラッシングをしっかり行うとともに、定期的に歯科医院にかかり管理していくことが大切です。