デンタルファイル

デンタルファイルNo.27 子どもの歯と指しゃぶり

子ども(乳幼児)の指しゃぶりは日常一般的に見られ、心理的安定にとって重要な意味のある生理的な現象です。つまり、寂しいときや不安なときに自分の精神を安定させる行為なのです。また、指しゃぶりによって手と目と口の協調運動が成り立ち、知覚や運動能力の発達にも役立っています。

3歳ぐらいになると、それまで頻繁だった指しゃぶりも徐々に少なくなり、やめてしまう子どもが多く見られます。これは、自分のまわりに興味を持ち始め、手先も器用になりいろいろな遊びを覚えるからです。また外遊びも増え、いつのまにか指しゃぶりを忘れてしまうようになっていきます。

ところが、4歳をすぎても指しゃぶりがやめられない子どもがいます。この時期以降の指しゃぶりは、歯並びや発音に悪い影響を与えることがあることから、悪習癖だとされています。上下の前歯の間にいつも指が入っているため、上の前歯が前へ出てしまうような歯並びになります。それと伴に上下の歯が噛み合わせにくくなり、奥歯は噛んだ状態でも前歯は噛みあわず開いた状態になってしまいます。その影響で発音において、サ行、タ行、チャ行、シャ行がうまく言えないことがあります。また、多くの場合、吸っている指に吸いだこができています。

4歳ぐらいまでに指しゃぶりをやめることができれば、その後に生えてくる永久歯への影響は少ないようですが、それ以降になってもやっている場合は、やめさせる努力が必要となります。

「指しゃぶり」は、精神的ストレスや両親や兄弟に対する欲求不満や対立など、心理的な原因で起こる場合が多く、厳しく叱ったり強制的にやめさせようとすると逆効果になります。子どもが1人でテレビを見て過ごす時間をなるべくなくし、手を使う遊びを教えたり 夜は話しかけ手をつないで寝るなど、子どもとの触れ合いを大切にすることが必要です。

小学校に上がってもやめられず、歯並びや発音に影響が出ている場合は、専門医に相談するとよいでしょう。