デンタルファイルNo.25 あかちゃんの歯
乳歯の生える時期
出生時のあかちゃんの口の中には歯がありません。顎も小さく、歯茎も平らで低いため、舌が口の中におさまりきれず、上下の唇の間から見えます。
乳歯の生えはじめは、一般には生後6~7か月頃で、下の前歯から生えてくることが多いようです。しかし個人差もあり、生後3~4か月で生えはじめる児から1歳の誕生日近くになってやっと生えはじめる児まで、かなりの差が見られます。
乳歯の生える順序も、上の前歯が先に生えることもあれば、まん中の前歯よりわきの前歯が先に生えてくることもあり、これにもかなり個人差が見られます。
生後1年を過ぎる頃には、上下の前歯が4本ずつ合計8本の歯が生えそろいます。その後、1歳半頃になると前歯から少し離れたところに奥歯(第一乳臼歯)が生えてきます。この歯は食べ物を噛み砕くのに適した臼状をしており、物を食べる運動である咀嚼運動ができあがりつつあります。1歳半を過ぎる頃になると先の尖った乳犬歯が前歯の横に生えてきて、さらに噛む力も増してきます。そして2歳半頃から3歳頃までに後の奥歯(第二乳臼歯)が生えてきて、上下20本の乳歯が生えそろうことになります。
あかちゃんのよだれ
生後半年頃には、あかちゃんのよだれが増えてきます。この時期には乳歯が生えはじめるばかりではなく、離乳食も始まり、指しゃぶりやおもちゃなどを口にいれ遊びます。こういった口へのさまざまな刺激が増えてきて、唾液の分泌がさかんになります。
しかしまだ、唇をしっかり閉じたり、溜まった唾液を飲み込む動きが上手にできないため、よだれとして外へ流れ出します。離乳食も進み唇の動きも上手にまると、徐々によだれは減ってきます。
口の中に現れる異常
上皮真珠
生まれて間もないあかちゃんの歯肉や上あごに、直径1mmから数mmの白い真珠のような球状の塊が見られることがあります。自然に消えてしまい治療の必要はありません。
先天性歯
出生時にすでに歯がはえていたり、生まれてから1か月以内の時期に歯が生えてくることがあります。先天性歯ほとんどが下の前歯です。問題がない場合はそのまま様子を見ますが、この歯によって舌が傷つき潰瘍ができることがあります。歯の先端を丸めたりすると潰瘍もなおることが多いようですが、やむをえない場合は抜歯をします。
あかちゃんのむし歯予防
あかちゃんの歯の手入れは、前歯が生え始めたらガーゼなどをお母さんの指に巻き、やさしく汚れをふき取ることから始めます。奥歯の生える頃にはむし歯の原因菌も定着しやすくなるので、歯みがきが必要になります。あまり無理強いせず、やさしい力で手早く磨いてあげます。しっかり磨くことよりまずは歯みがきに慣れることのほうが大切です。
あかちゃんのむし歯は、歯みがきより食生活に関連が深いと言われており、よりよい食習慣と歯みがき習慣の両方を身につけさせることがこの時期重要だといえます。