デンタルファイルNo.23 妊娠中のお口の手入れ
日本では昔から、「子どもを産むと歯を失う」と言われてきました。これは妊娠・出産を経験すると、女性の歯は悪くなるという、言い伝えのようです。はたしてそうでしょうか?
妊娠をすると、つわりで歯ブラシを口の中に入れると気持ちが悪くなったり、からだがだるくなり歯をみがくことさえ面倒になったりします。その他、食べ物の嗜好が変化し、酸味の強いものが食べたくなったり、間食回数も増えてしまいます。また妊娠中はホルモンの変化で歯肉が腫れやすくなります。その結果、虫歯や歯周病が大変起こりやすい状況になります。
妊娠中に虫歯や歯周病にかかると、産後は育児に追われて通院することもままならず、重症になってしまうことが考えられます。育児が一段落しハッと気がついたときには、すでに歯を何本も失ってしまうという悲しい結果にもなりかねません。したがって、妊娠時の歯みがきは、むし歯予防そして歯周病予防にとても重要な意味を持っているのです。
妊娠中の歯みがきのポイント
つわり対策
食後にこだわらず、一日のうち体調のよいときをみつけ、みがいてみましょう。お風呂に入ってリラックスしているときでもいいと思います。
顔を下に向けて
喉の奥に歯みがき剤の混じった唾液がたまると、その刺激で吐き気がおこります。なるべく顔を下に向けて喉に流れないようにみがくことがポイントです。
歯ブラシは小さめ
喉に近い粘膜に歯ブラシが触れることでも吐き気が起こります。なるべく小さめの
歯ブラシを使い、奥から前に向かってみがくといいでしょう。
歯みがき剤は少し
妊娠中は匂いに敏感になります。歯みがき剤の香料でも気持ちが悪くなることがありますので、あまり大量にはつけないようにしましょう。
妊娠中に歯の健康を意識し歯みがきをしっかり行うことが、その後の歯の健康に大きく影響を及ぼすことになります。また、妊娠中に生まれてくる赤ちゃんの歯について関心を持つことが、子どもの歯の健康を支える母親としての第一歩にもなります。自分の歯はボロボロなのに、赤ちゃんの歯だけに関心をもつのというのは、あまり賢い母親とはいえませんね。
自分のためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにも、妊娠中からしっかり歯をみがき、お口の健康をこころがけるようにしましょう。