デンタルファイル

デンタルファイルNo.16 口臭のはなし

人や動物にはみんな臭いがあります。臭いの出口は口腔や皮膚などで、たえずいろいろな物質分子を発散しています。会話や呼吸で吐き出した息が、他人の鼻に不快に感じられたならば口臭となります。

口臭の原因

  1. 生理的口臭
    起床時口臭・空腹時口臭・緊張時口臭・生理時口臭・妊娠時口臭など
  2. 病的口臭
    (1)局所的原因(口腔内): 穴のあいたむし歯・歯周病・歯の汚れ・舌の汚れなど
    (2)全身的原因 : 呼吸器系の病気・消化器系の病気・耳鼻科領域の病気
  3. 食餌による口臭
    食べ物(餃子・キムチ・納豆・漬物・クサヤなど)や飲酒・喫煙
  4. 心因的口臭(自臭症)
    他人には匂わないのに、本人のみが口臭を強く訴える

口臭の予防

生理的口臭は一時的に唾液分泌が抑制されたり、血液中のホルモンバランスの影響によるもので、病的なものではありません。水分を少し取ったり、歯みがきをすることで緩和されます。

病的口臭のうち、局所的なもの(口腔内に限局した原因)であれば、歯科治療を行います。また、歯みがき方法も改善しないと治りません。通常の歯みがきに加え、歯間ブラシやデンタルフロス、洗口剤も有効です。舌についている汚れ(舌苔[ぜったい])は歯ブラシや舌ブラシを使い落とすことが必要です。全身的なものであれば、全身疾患の治療が優先します。

食餌による口臭は、前日に食べたニンニクの臭いやお酒の臭いなどで、血中に臭気の素が溶け込んで肺からのガス交換によって呼気に含まれます。これは日数が経過すれば自然に治まります。

心因的口臭(自臭症)は、実際には口臭がないにもかかわらず不安になり、過度に口の臭いにこだわることです。潔癖症な人に多いのですが、本当に臭いがあるかどうか、遠慮のいらない家族に確認をしてもらうか、歯科医に相談することが必要です。

口臭の原因の約80~90%は「口腔内(口の中)のもの」といわれています。健康で自然な息を保つには、口臭の素を作り出す細菌(歯石や歯垢)や食べかすを取り去ることです。食べたら、ブラッシングをすることは口臭予防だけではなく、むし歯や歯周病を予防する事ができるとっても大切な一つです。

ヨーロッパやアメリカなど、日常から人前でキスをすることが挨拶となっている国があります。これらの国々では口臭に関する意識が高く、普段から口腔衛生習慣についてもレベルが高いようです。日本では人前でキスをする習慣がありませんから、ヨーロッパやアメリカほど口臭に関しての意識は高くありません。

自分ひとりではなかなか気がつかないのが口臭です。口臭が強いと相手に不快感を与え、人間関係が円滑にいかないことがあります。普段から口腔内をきれいにする習慣を身につけ、口臭予防をしましょう。