ファイルNo.3 フッ素のはなし(その1)
フッ素は私たちの身の回りに広く分布し、地球上の海・川の水、土の中、草や木、また人間の食べるあらゆる食物、特にお茶・煮干し・食塩・味噌などには比較的多く含ま れています。そして私たちの体の中にも含まれていて、健康な歯や骨にとって欠かせない必須微量元素(ミネラル)のひとつです。
フッ素はむし歯を予防するという観点からは最も効果のあるものとされ、むし歯予防に使われるフッ素はフッ化(合)物といわれます。
歯にフッ化物を塗ると、歯の表面のエナメル質がフッ素の侵入により、バイ菌が出す酸(むし歯の原因)に侵されにくくなります。そしてそのバイ菌に対しても酸の産生を抑制する作用もあります。また、初期のむし歯を修復する再石灰化(むし歯によって脱灰された部分にカルシウム塩が再沈着すること)の効果もあります。
フッ化物によるむし歯予防の方法としては、個人が家庭で行えるものと専門家が応用するもの、地域住民全体に供給するものがあります。
家庭で行えるものには、「フッ素洗口」や「フッ素配合歯磨き剤」などがあります。いずれも低濃度のフッ素ですが、日常的に使用することで高い効果が期待されます。
専門家(歯科医師・歯科衛生士)が行うものとしては「高濃度のフッ化物を歯面に塗布する方法」があり、年に数回定期的に塗布することが必要です。
地域住民に供給する方法としては上水道のフッ化物添加があり、アメリカやカナダでは実施されていますが、現在日本では行われていません。
薬と同様にフッ素も採りすぎは禁物ですが、適量を正しく使用し、虫歯の予防を行う習慣を身につけましょう。