デンタルファイル

デンタルファイルNo.15 歯垢と歯石

歯の裏や表面についた白っぽいネバネバを歯垢(=プラーク)といいます。

歯垢は、口の中に棲息するおよそ300~400種類の細菌と、その細菌が産生する多糖の塊からなっています。歯垢1gには、1,000億個以上もの数の細菌が含まれていると言われています。

なかでもミュータンス菌は、砂糖を利用してこの歯垢をより強固にし、そのなかで酸を作り出します。このミュータンス菌の出す酸で、歯の表面のエナメル質が溶かされてむし歯ができます。

また、歯垢中の歯周病菌が繁殖すれば歯槽膿漏の前段階である歯肉炎を引き起こします。この歯垢を長時間放置しておくと、唾液中のカルシウムやリン酸が結びつき石灰化します。これを歯石といいます。

歯垢が石灰化する速度は意外と速く、歯面に歯垢が付着して約50%が2日間で、60~90%が12日間で石灰化するといわれています。それらが互いに融合し強固な歯石となっていきます。

歯石には、歯と歯肉の境目より上に付着している「歯肉縁上歯石」と、この境目より下(歯の根の表面)に付着している「歯肉縁下歯石」があります。「歯肉縁上歯石」は、白または黄白色で下の前歯の裏側や上の奥歯の表側によく見られます。「歯肉縁下歯石」は、目で見えない部分についているため、専門家(歯科医師・歯科衛生士)に診てもらう必要があります。黒褐色または濃い茶色で非常に硬く、歯周病が進んでいる場合に多く見られます。

歯石の表面はザラザラしていて歯垢(=プラーク)がつきやすく細菌の温床となり、放置すると雪だるま式に汚れ歯石は更に厚く硬くなっていきます。この歯石は歯肉を刺激し、炎症を悪化させ歯周病の大きな原因となります。

歯石が付いているところの歯肉は、細菌により炎症を起こしてしまい、赤く腫れて歯ブラシで簡単に出血する状態になります。徐々に炎症が進行して、歯を支えている大事な骨までもが破壊されていきます。これを防ぐにはプラークコントロールにより付着した菌を、ためないうちに取り除いていく必要があります。

歯垢は毎日のブラッシングで取り除くことができますが、歯石は硬く自分では取り除けません。歯ブラシの当たりにくい部位に歯石はつきやすいともいえますので、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受け、正しいブラッシング方法を身につけていきましょう。